Umamoの土

「良い土なくして、良い野菜は作れない」

誰もが知っている、農業の基本です。実は「Umamo」も、形は違えど、いい野菜を作る農作業とよく似ています。土を整えて、育ちやすい環境を作り、手間暇かけて収穫する。文字にすると簡単ですが、実はそれぞれの工程で、とても繊細な作業が必要なってきます。今回はUmamoにとっての土にあたる泡盛粕、それをどのようにいい土へと変化させていくのか、その一端をご紹介いたします。

わたしたちは月に何度か、泡盛の蒸留が終わるタイミングで近所の新里酒造さんに泡盛粕を貰いに行きます。ちょうど、泡盛の原料のお米を蒸し上げの時間と被ると、甘いお米の香りがふんわりと香ってきます。蒸留直後で熱々の泡盛粕を専用のタンクに小分けしてもらい、1回で200L-300Lほど受け取ります。泡盛粕の状態を新里酒造さんの社員の皆様と確認しながら、手作業で充填していきます。泡盛粕から華やかな香りがフワッと香ればこの商品、しっかりとした香りが立ち昇ればあの商品、とわたしたちもずいぶん泡盛に慣れ親しんだものです。

しかしながら、いただいた泡盛粕は、そのままではUmamoにとっての最適な土にはなりません。1日かけて、丁寧に加工を施した後、更に1晩以上寝かせて固形分処理などを実施します。その後、Umamoが生まれ育ったマングローブ水域の環境を再現するために、特殊な自然塩とエネルギーの源になる炭水化物、そして適量の水を加えて、ようやく泡盛粕がUmamoを育む土へと変化します。その間、泡盛粕の状態を確認しながら、数百L単位の調合を丁寧に、そして手作業で実施します。作業に慣れていない時にはよく筋肉痛にもなった作業です。

ちなみに、そのままの泡盛粕をUmamoに与えてしまうと、Umamoは全滅してしまいます。本来、マングローブの葉っぱの裏にいた藻と、泡盛粕は出会うはずがなかったものです。長年の藻類研究と、それを実現する地道な手作業での調整があってはじめて、泡盛粕が活用可能なものとなります。

このいい「土」となった泡盛粕を、さながらビニールハウスとも言える専用タンクの中に敷き詰めて滅菌作業を行うと、いい土で満たされた畑が完成します。あとはその畑にUmamoの種をまけば、作業は一旦ひと段落です。

しかしながら、畑に土をまいて種を植えれば、美味しいお野菜出来上がり!なんてことはありえません。実は、ここまでの工程は良いUmamo作りの第一章です。ここからは、気まぐれで偏食、そして繊細なUmamoとのご機嫌取りの作業が始まりますが、それはまたの機会とさせていただきます。