うま藻 × プロフェッショナル
美味しさを繋ぐ現場へ

私たちは日々、うま藻を通じてプロフェッショナルの皆様と出会います。
業態は違えど「美味しい」が続いていく未来を目指していることには変わりません。
そんな彼 / 彼女らが見ている世界を対談形式でご紹介します。

美味しさを繋ぐ現場へ 第六回対談
Alternative シェフ 斉藤 貴之 氏

うま藻ジャーナル第六回は、
お客様にとって“おもろい”店を掲げる
白金のフレンチフュージョンレストラン Alternativeの斉藤シェフ。
「フランス人にはできないフランス料理」を目指して研鑽を続けるシェフに、
これまでの歩みと食の未来についてお聞きしました。

プロフィール
Alternative / 斉藤 貴之 シェフ
1980年大阪生まれ大阪育ち。2000年より神戸のフレンチレストラン「御影ジュエンヌ」、2004年より「ラ・ブランシュ」で腕を振るった後に渡仏。2007年から一つ星レストラン「ル ベナトン」、二つ星「プティ サン ジャン」で修業を重ね、帰国後に「ラール・エ・ラ・マニエール」、「プロヴィナージュ」でシェフを務める。2016年8月に「プロヴィナージュ」の前経営者より店を引き継ぎ、「Alternative」としてオープン。2021年9月に白金に移転オープンし、現在に至る。

高田 : 本企画では、シェフの過去と今、そしてどういう未来を目指したいかをお伺いしています。そして、斉藤シェフの未来に、うま藻がどう役立てるかも併せてお伺い出来れば。まず、お料理を始めたきっかけをお伺いできますか?

斉藤 貴之(以下 斉藤): 親の料理が美味しくて。実家が喫茶店を営んでいたので、両親は基本的に家にいない。だから、いつも料理の本を見ていました。笑
そのせいもあって、小学校ぐらいの頃からもうサラリーマンはできないと悟っていました。「俺、リーマン無理!勉強無理!」と、中学校の卒業文集に書いていました。その当時は何も知らなかったので、勉強できなくても料理人はできると思っていたのですが、やってみたらアホはできなかった。笑

勉強とは違いますけど、やはり学び続けないとできない。

高田 : では中学校卒業してから、シェフの道ですか?

斉藤 : 親から「高校だけは出てくれ」と。ということで、高校だけは行って、その後に料理の専門学校から修行に入りました。

高田 : 色々とチョイスがある中で、フランス料理に情熱を持ったきっかけを教えてください。

斉藤 : 子供のころから、親にフランス料理食べさせてもらっていて。その時に、フランス料理本当に美味しいな、と。

やるからには、フランス料理で一流の料理人になりたいと思ったので、関西の中でも一番厳しいと言われるところにいました。今でもある「御影ジュエンヌ」というお店で4年ほど修行させていただきました。

その後、「ラ・ブランシュ」というお店で食べた時、本当に美味しく、そこですぐ働かせて下さいと頼み込みました。相当きつい現場だったのですが、一緒に働いているメンツが良くて。ここで戦友と呼べる仲間がいたから続けられたと思っています。

ここで一生懸命やれたからこそ、仕事に対して真摯に向き合えるようになったと思っています。仕事は、自らやる。休みの日でもやる。自ら自分に課す、それが仕事だなと思うようになりました。

高田 : 仕事に対して真摯に向き合う、そのきっかけになる出来事があったのでしょうか?

斉藤 : 長年いた先輩が辞めて「後を頼むわ!」って。
先輩が5年間守ってきたものを、それを頼むって言われた時、あの人が守ってきたものを、次は自分が下の子に引き継ごうと思ってからもう一段伸びましたね。その仕事は3年間、その後半2年は今思えば青春でしたね。今では考えられないですけど、毎日18時間労働だろうと大丈夫でした。4日80時間とかもありましたね。その時は気持ちが高ぶっているので、駆け抜けましたね。

その後は、1年間フランス、帰国して銀座で1年、西麻布で4年半やらせていただき、晴れて独立しました

高田 : フランスに行かれてたのですね。それは、料理の修行ですか?

斉藤 : 日本で店をやると決め、その前にワインを詳しくなることを目標に、1年と決めて行きました。目標を決めていたので、休みの時でもワインを勉強しに行きます。それこそ、休憩せずに。笑
海外に行く人は、やはり目標をどこに置くのか、ここが重要だと思いますね。

高田 : 目的のあるなしでは、見える世界や時間の使い方は変わりますしね。
色々と経験してきた中で、斉藤さんはお料理を通じて、何をお客さんに届けたいですか?

斉藤 : 「フランス人にはできないフランス料理を」ですね。
僕は日本人です。そして日本にいる限り、フランスとは食材も違います。だからこそ、フランス人にはできないフランス料理を思いっきりやろうと思い、和の食材を積極的に使っています。また、未利用魚など、あまり日の当たらない食材をもっとメジャーに押し上げたいなと思っています。

そして、やっぱり野菜。今は良い農家さんから買わせていただいていて、本当の意味で野菜が主役の料理を作りたい。美味しいのは当たり前で、その先を見据えていきたいと思っています。それこそ、農家さんと一緒になって、その野菜の価値を最高のお料理で表現したい。

普通の料理人があまりやらないことをやり続けたいですね。捨てられている魚が高く売れたら漁師さんもうれしい。野菜の価値が見直されれば、農家が喜ぶ。自分がシェフとして最高の表現をした先に、いい循環を作り出せればと思っています。

高田 : 生産者である弊社からすると、思いを含めてお料理で表現していただくのは、本当にありがたいです。斉藤さんが、そう思われるようなきっかけは?

斉藤 : やっぱり、出会いですね。
日本の野菜は、本当にすごい農家さんがいます。そういう人とお話すると「この人の野菜はメインで入れたい」という気持ちになります。

これが良い刺激になって、自分も成長できている感じがします。野菜を主役にした料理を、ここ2・3年ぐらい置いています。目で見たこと、会って話したこと、作り手の思い、それを感じながらお料理として表現する。そんなことを考えながら厨房で料理をしていると、まだまだ成長できるなと感じますね。

厨房で料理をしていると、まだまだ成長できるなと感じますね。

高田 : 話は変わりますが、Alternativeは「おもろい」店でありたいと。
斉藤さんが伝えたい「おもろい」とは何でしょう?

斉藤 : 人がやらない料理です。流行やバズではなく、自分にしかできないこと。それが、オモロいと思っています。「新しい、けど美味しい!」そんな感動をお客さんには味わってほしいな、と。

高田 : なるほど。確かに、毎回Alternativeに行くと、新しい発見があります。そのおもろいを実現するにあたり、業界の課題みたいなものはありますか?

斉藤 : 究極の課題は、数が多すぎること。日本は制限なく作れてしまうので、働き手に対して店が多すぎる。その結果、衛生面がおざなりになってしまっている店が散見されます。飲食は最悪の場合、人が死んでしまうリスクがあるにも関わらず、それが十分理解されていない。環境問題は、もちろん食である限り切り離せない問題ですが、まずは足元の衛生面の強化や、お店を持つべき料理人の選別は実施すべきだと考えています。

そして環境面の話でも、集客としての好感度を上げるためのSDGsでは意味がないと思っています。当たり前に実施して、それを継続してやっていく。それがお店としてあるべきスタンスではないかと思っています。

高田 : 確かに、そうですね。異常なまでに食の競争が激しいのが日本ですしね。。。
斉藤さんが、食の未来に向けて取り組んでいることは何かございますか?

斉藤 : 自分の後継者でなくてもいいから、若い人を育てていきたい。
飲食はブラックというイメージがついてしまって、なかなか若い子が入ってこない。でも、すごく夢のある職業だと僕は思っています。独立すれば小さくても社長であり、目の前のお客さんに食の喜びを伝えることができる。

だからこそ、定期的に他で働いている若い子とかを呼んで勉強会を開いています。僕の技術を開放することで、少しでも飲食業界が盛り上がっていけばいいかな、と。自分の店だけではなくて、他のお店の子も一緒になって成長してもらう。そうすることで、この業界にいい人材を一人でも多く繋げていきたい。

ただ、料理人は技術職なので、やはりその習得には1日8時間労働では厳しい。料理のレベルを保つために、今後どれだけの若手が突き詰めて努力してくれるかが大切だと思っています。そのきっかけを、僕がしてもらったように、今の若手にも伝えていければと思っています。

高田 : 生産者の思いをしっかり届けてくれるのは、他ならぬ料理人の皆様だと思っていますので、期待しております!今回のイベント実施にあたって、斉藤さんはうま藻にどんな印象を持ちましたか?

斉藤 : 初めて食べたときは、面白い食材だなと。何回か使っていく中で、最近合うもの合わないものが見えてきた。可能性はすごく感じています。特に「うま味」の部分ですね。うま味があることは、とても大事で。日本は特に、うま味があると美味しさに対して理解してくれる。

健康だからといって、無味無臭なものを食べませんよね?やっぱり美味しいもの食べたい。だからこそ、うま味があってサステナブルな食材という意味でなかなか面白い。

高田 : 斉藤さんの描くAlternativeの未来像に、
うま藻が関わっていけるとうれしい限りです。

斉藤 : 業界として、今後はより一層厳しくなっていくと思っています。人もいない、物価も上がる。ただその中でも、どう楽しむか、どうおもろいを出せるか、それを僕は追求したいと思っています。それが、良い方向に行くのか、悪い方向にいくのかはわからないですが、まずは楽しむことだと思っています。自分が思うおもろいの一つに、うま藻での表現が出来ればいいですね。

高田 : ぜひ、一緒に形にできたらありがたいです。

斉藤 : そして、最後はやっぱり「趣味は納税です」というのを楽しみにしたい。

高田 : 僕はそれにはなりたくないですけど(笑)
うま藻の美味しさは、結局どう使われるか次第だと思っています。
ぜひ今後ともオモロい表現の一つに、うま藻を使っていただけると有難いです。

Alternative × うま藻
「秘密兵器 うま藻 “美味しさの先へ”」

2024年3月24日(日)

第6回うま藻の会は、お客様にとって“おもろい”店を掲げる白金のフレンチフュージョンレストラン Alternativeの斉藤シェフとのコラボレーション。
「サステナは謳うものではなく、当たり前にやるもの」と語る斉藤シェフ。そんな彼が作るうま藻とこだわりの食材を掛け合わせたお料理に、参加者は大満足。「美味しく食べて、未来が良くなる」そんな夢のような可能性を現実に感じた会になりました。


お品書き


シフォンとシャンティ

売れるうま藻のドレッシング

豆腐

うま藻の新たな可能性

うま藻焼き

うま藻の真価