うま藻 × プロフェッショナル
美味しさを繋ぐ現場へ

私たちは日々、うま藻を通じてプロフェッショナルの皆様と出会います。
業態は違えど「美味しい」が続いていく未来を目指していることには変わりません。
そんな彼 / 彼女らが見ている世界を対談形式でご紹介します。

美味しさを繋ぐ現場へ 第四回対談
IL TEATRINO DA SALONE シェフ 山本鉄巳 氏

うま藻ジャーナル、第四回はまるで小劇場で観劇をしているかのように料理を楽しめる
イタリアンレストラン、南青山のIL TEATRINO DA SALONEの山本シェフ。
若くしてイタリアで経験を積み、
食材と人にまっすぐ向き合う真摯なシェフにお話を伺いました。

プロフィール
IL TEATRINO DA SALONE / 山本 鉄巳 シェフ
1992年生まれ神奈川県出身。高校生で始めたアルバイトをきっかけにイタリア料理を志す。高校卒業後、国内のイタリア料理店3軒で計6年半修行した後、渡伊。2018年に一つ星を獲得したトスカーナ州「Cum Quibus」にて勤務後、26歳で帰国。「バリラ マスターズ オブ パスタ シェフ オンラインチャンピオンシップ 2020」にてGOLD PRIZE 受賞。2021年3月より「イル テアトリーノ ダ サローネ」シェフに就任。 ITALIAN WEEK100 2023年度ベストパスタ賞受賞。

— どのような選択を重ねて料理人・山本鉄巳がありますか?

山本 鉄巳(以下 山本): 中学生の頃の部活動のために、自分で弁当作りを始めたことで料理に目覚めました。その後料理の専門学校へ行くために始めた、地元のピザが有名なレストランでのアルバイトがイタリア料理へ足を踏み入れたきっかけです。

当初は料理の専門学校の資金を貯めることが目的でしたが、早く働きたいという気持ちが強くなり、高校卒業後は専門学校へは行かず地元にあるイタリアンレストランへ就職。しかし、最初の下積み時代が想像以上に大変で、一度は料理以外の仕事を見つけようと自分探しの時期を過ごしたこともありました。しかし、料理が忘れられませんでした。本屋に行けば料理本ばかり見漁り、スーパーへ行けば食材ばかりを見てしまう自分の行動に「やっぱり料理なんだ」と決意を固めました。

その後2店舗目で5年働きイタリアン料理一筋。5年勤めたイタリアンのお店は生粋のクラシックな郷土料理のシチリア料理店でした。シェフがイタリアをこよなく愛し、古典料理を突き詰める方だった影響でイタリアのクラシック料理について夢中で学びました。その後、イタリアに渡ってからは一転、感性を磨くシェフの元に。そこではクリエイティブな学びが多くあり、料理人として新たな感覚を得たと思います。

— 山本さんが料理を作る際に大切にしている言葉「澄心静慮」(心を澄ませ、物事を深く考え静かに考える)。うま藻の会を実現させてもらうにあたり、この言葉を表す方だと心から感じました。ぜひ、IL TEATRINO DA SALONEのシェフとして意識していることを教えてください。

山本 : イタリア料理人らしく、「生きたイタリアを伝える」ということを考えています。私の思う生きたイタリアは、歴史的な事象だけではなく、現地で流行っているトレンドや世界の流れに対して今のイタリアはこれだ!と料理で表現しています。

私が特に意識していることは、技術面、調理法、表現方法も目まぐるしく新しいものが増えてきている中で、積極的に最新を敏感に取り入れていく姿勢の大切さ。だからこそ「うま藻」のようなストーリーのある新しい食材に出会った時、自身の技術と表現方法を駆使して様々な表現を織りなすことができると感じました。

— 山本さんから見た食の現状、主にサスティナビリティを考えるようになったきっかけを教えてください。

山本 : シェフになって自分で食材を探すようになり、農家さんに伺う機会が増えました。そこで生産者の生の声を聞き、規格外で無駄になってしまう多くの食材のことを始めとして、食の悲しい現状を知りました。私は料理を提供する側として、海や森の環境に配慮した食材を選ぶこと、そして生産者の想いを伝えることを大切にしています。例えば、アグロフォレストリーという自然循環方式で栽培されているマダガスカルのバニラやスパイスを使用していること、などです。

— 食材を選ぶ際に想いやストーリーを大切にする姿勢、うま藻を作る生産者としてとてもありがたい言葉です。「うま藻」は山本さんにとってどのような食材にみえていますか?

山本 : まずはうま藻の誕生ストーリー。海の天然魚が減っていくという現状に対して、美味しく食べて普及していけばその現状を食い止めることができるという視点は目から鱗でした。うま藻の食材としての第一印象はイタリア料理での表現が少し難しいかもしれないと感じました。同時に、アレンジのし甲斐があるのではとも思いました。カラスミっぽいのかと言えば厳密には違う。視覚的な見た目と食べた時のギャップが印象的だったのを覚えています。

今回のうま藻の会テーマ「うま藻を舞台役者に例えたストーリー」というお話しをいただいた時、私の中の料理人魂が騒ぎました。「うま藻を使って、どのような物語ができるだろうか。」と。

今回のイベントをやるにあたって様々なパターンを試作しましたが、意外なことにうま藻は何にでも合うと感じました。だからこそ、うま藻の持つうま味を尊重すること、そしてうま藻としての味わいが料理を口に入れた時にしっかり分かるようになど、アプローチの仕方には細心の注意を払いました。

— 最後に、今回のShow must go on ! 主演うま藻 「うま藻の会」に託した思いをお聞かせください。

山本 : これまでの私の料理人人生を振り返りながら一皿一皿に思いを馳せました。一皿目の「ペコリーノムースうずらの卵 山のトリュフ 海のトリュフ」はあえて完成した料理に軽く振りかけました。これは下積み時代、脇役にすらなれていない自分を表現しています。

ここでは、うま藻は大きな仕事をしていません(笑)。そこから主役を輝かせる脇役としてうま藻、そして主役として味の中心になるうま藻を、それぞれパスタに仕込んで表現。メインは、うま藻が持つ未来の海に魚を繋げる思いを一皿に託しました。ここでは、MSC認証※1を使ったアイスランド鱈を使っています。下積みから主役へ、そして世界に普及すれば海の魚が未来へ繋がる、うま藻の華々しい成長ストーリーをお料理に託してお届けしました。

これからも食材に込められた想いを一皿に落とし込み、食材の良さや味わいをコースという一つのステージを通じてお客様に届けられるように、食材と日々向き合っていきます。

※1 Marine Stewardship Council 持続可能な方法で漁獲されている天然魚の認証

IL TEATRINO DA SALONE×うま藻
「Show must go on !」

2024年2月19日(月)

第4回うま藻の会は、まるで小劇場で観劇をしているかのような料理を楽しめるイタリアンレストラン「IL TEATRINO SALONE 」にて「うま藻」をデビューしたての新人俳優と喩え、うま藻の成長ストーリーを料理に乗せ山本シェフに表現していただきました。

海の持続可能性というテーマを美味しく楽しく伝えたい。うま藻は、世間的にはまだまだデビューしたばかりですが、彼には「美味しさで、未来へ海を繋いでいく」ことができる個性があります。その彼が主役の座についた時、海の未来は少し良くなるかもしれない。

料理にそっと寄り添い、時にはメインを飾る一皿になるうま味食材、うま藻。
海に、地球に配慮した「持続可能性」のエンターテイメントの一夜です。


お品書き

うま藻を”下積み”として捉えた皿
ペコリーノムースうずらの卵 山のトリュフ 海のトリュフ
宿毛産 真鯛”善兵衛農園” 三宝柑インサラータ

うま藻を”脇役”として捉えた皿
富山産甘エビのパスタティエピダ
山陰産 猪ロース炭火焼 オニオンヌーボー

うま藻を”主役”として捉えた皿
タヤリン うま藻バターソース 蛤 聖護院大根

海に配慮した皿
鱈のヴァポーレ うま藻のコンソメ

Dolce
“フレッシュ園渡辺”とちおとめ ジャンドゥイヤ

Cafe
ブロンテ産ピスタチオ
カカオ生キャラメル